後期期末 応用物理

 随時更新していく。

 今回は書いているのがテスト直前くらいであるから、前回みたいにのんびりだらだら垂れることはせず、簡潔な過程提示を意識して書いてみる。意識はする。

 後期期末の範囲は、中間の忘れ物である Kirchhoff と力学における微積の関係、そして回転運動と並進運動の対応だ。つまり1年2年の力学のボスラッシュである。

 後期中間を経て「やっと回路から抜けられる!」と思っていたのに、未回収のKirchhoffと電電工学で僕は悲しい。

使う公式とか

 今回も例にもれず公式の導出や概念の説明がこの記事の主たる内容であるが、「とりあえず公式だけまとめといて」ということでここに記しておく。

並進運動

$$\begin{eqnarray} v(t)\ &=&\ \dfrac{dx}{dt} \\ a(t)\ &=&\ \dfrac{dv}{dt}\ =\ \dfrac{d^2x}{dt^2}\end{eqnarray}$$

回転運動

$$\begin{eqnarray} \omega(t)\ &=&\ \dfrac{d\theta}{dt} \\ \alpha(t)\ &=&\ \dfrac{d\omega}{dt}\ =\ \dfrac{d^2\theta}{dt^2} \end{eqnarray}$$

等加速度運動

$$\begin{eqnarray} x(t)\ &=&\ v_{0}t\ +\ \dfrac{1}{2} at^2 \\ v(t)\ &=&\ \dfrac{dx}{dt}\ =\ v_{0}\ +\ at \\ a(t)\ &=&\ \dfrac{dv}{dt}\ =\ a \end{eqnarray}$$

単振動

$$\begin{eqnarray} x(t)\ &=&\ A\sin(\omega t) \\ v(t)\ &=&\ \dfrac{dx}{dt}\ =\ \omega A\cos(\omega t) \\ a(t)\ &=&\ \dfrac{dv}{dt}\ =\ -\omega^2 A\sin(\omega t) \end{eqnarray}$$

放物運動

$$\begin{eqnarray} \vec{r}(t)\ &=&\ \left(\begin{array}{c} v_{0x}t \\ v_{0y}t\ -\ \dfrac{1}{2}gt^2 \end{array} \right) \\ \vec{v}(t)\ &=&\ \dfrac{d\vec{r}}{dt}\ =\ \left(\begin{array}{c} v_{0x} \\ v_{0y}\ -\ gt \end{array}\right) \\ \vec{a}(t)\ &=&\ \dfrac{d\vec{v}}{dt}\ =\ \left(\begin{array}{c} 0 \\ -g \end{array} \right) \end{eqnarray}$$

等速円運動

$$\begin{eqnarray} \vec{r}(t)\ &=&\ \left(\begin{array}{c} R\cos(\omega t) \\ R\sin(\omega t) \end{array} \right) \\ \vec{v}(t)\ &=&\ \dfrac{d\vec{r}}{dt}\ =\ \left(\begin{array}{c}\ -\omega R\sin(\omega t) \\ \omega R\cos(\omega t) \end{array} \right) \\ \vec{a}(t)\ &=&\ \dfrac{d\vec{v}}{dt}\ =\ \left(\begin{array}{c}\ -\omega^2 R\cos(\omega t) \\ -\omega^2 R\sin(\omega t) \end{array} \right) \end{eqnarray}$$

力のモーメント

$$\vec{N}\ =\ \vec{r}(t)\ \times\ \vec{F}$$

角運動量

$$\vec{L}\ =\ m\vec{r}(t)\ \times\ \vec{v}$$

回転の運動方程式

$$\begin{eqnarray} \vec{N}\ &=&\ \dfrac{d\vec{L}}{dt} \\ \vec{N}\ &=&\ I\vec{\alpha} \end{eqnarray}$$

質点系の重心

$$\begin{eqnarray} \vec{r}_{G}\ &=&\ \dfrac{1}{M}\displaystyle\sum_{k=1}^{N}m_{k}\vec{r}_{k} \\ M\ &=&\ \displaystyle \sum_{k=1}^{N}m_{k} \end{eqnarray}$$

剛体の重心

$$\begin{eqnarray} \vec{r}_{G}\ &=&\ \dfrac{1}{M}\displaystyle\int\vec{r}\rho(\vec{r})dV \\ M\ &=&\ \displaystyle \int \rho(\vec{r})dV \end{eqnarray}$$

回転運動物理量での角運動量

$$L\ =\ I\omega$$

慣性モーメント

$$I\ =\ \displaystyle\int\rho(\vec{r})l^2(\vec{r})dV$$

本題

Kirchhoff と閉路

 毎度おなじみ Kirchhoff`s low である。もはや説明不要な感じもするが、一応それぞれにふれておく。

 キルヒホッフの法則は電流と電圧に関する閉路での保存を表した法則である。第一法則が電流、第二法則が電圧だ。オームの法則から導出したらしいが、 Kirchhoff がこれを発表した論文は有料で見ることができなかった。

キルヒホッフの第一法則(電流則/KCL)

 ある閉路の任意節点を通る電流の総和は0である。

キルヒホッフの第二法則(電圧則/KVL)

 ある閉路を一周するときの電位差の総和は0である。

上の二つからわかるように、閉路の中では電流の総量は変化しないし、起電力は一周したときに使い切る(不適切)。

 これを駆使して閉路のなんかいろいろを求めることができるのだ。簡単な例を以てこれを見る。

 上の図において電流の大きさを求めてみよう。これは電源が2つの閉路であるが、単純化のために閉路C1と閉路C2に分けて扱う。この分け方は電電工学で扱われていたはずだ。電流の向きはこれで固定する。

 まずは電流則より、1つの節点での電流の流出入を定義する。ここでは節点Eを基準点にする。

$$I_{1}\ +\ I_{3}\ =\ I_{2}$$

次に閉路ごとに電圧則を定義する。起電から閉路の向きに電流を流してみる。抵抗に当たった時に、その閉路の向きと抵抗に流れる電流の向きが同一なら電圧が下がり、そうでなければ電圧が上がる。

$C_{1}$では閉路の方向に流れる電流は$R_{1}\rightarrow R_{2}$であるから、

$$C_{1}:\ E_{1}\ =\ R_{1}I_{1}\ +\ R_{2}I_{2}$$

$C_{2}$では閉路の方向に流れる電流は$R_{2}\rightarrow R_{3}$であるから、

$$C_{2}:\ E_{2}\ =\ -R_{2}I_{2}\ -\ R_{3}I_{3}$$

となる。この連立方程式

$$\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} I_{1}\ -\ I_{2}\ +\ I_{3}\ =\ 0 \\ E_{1}\ -\ R_{1}I_{1}\ -\ R_{2}I_{2}\ =\ 0 \\ E_{2}\ +\ R_{2}I_{2}\ +\ R_{3}I_{3}\ =\ 0 \end{array} \right. \end{eqnarray}$$

を解くことで電流が求まる。ここからは余談だが、連立方程式が苦手な僕にはこれが厳しいから、

$$\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} I_{1}\ -\ I_{2}\ +\ I_{3}\ =\ 0 \\ -R_{1}I_{1}\ -\ R_{2}I_{2}\ +\ 0I_{3}\ =\ -E_{1} \\ 0I_{1}\ +\ R_{2}I_{2}\ +\ R_{3}I_{}3\ =\ -E_{2} \end{array} \right. \end{eqnarray}$$

と置いて、行列表示

$$\begin{pmatrix} 1&-1&1 \\ -R_{1}&-R_{2}&0 \\ 0&R_{2}&R_{3} \end{pmatrix} \begin{pmatrix} I_{1} \\ I_{2} \\ I_{3} \end{pmatrix} \ =\ \begin{pmatrix} 0 \\ -E_{1} \\ -E_{2} \end{pmatrix}$$

からクラメルの方法を使って解く。

運動と微積

 1年生/2年生のときに気合で覚えたあの運動の公式たちを吟味してみよう。

$$\begin{eqnarray} x(t)\ &=&\ v_{0}t\ +\ \dfrac{1}{2} at^{2} \\ v(t)\ &=&\ v_{0}\ +\ at\end{eqnarray}$$

この等加速度運動の式を眺めていると、「なんか微積の関係ぽいなー」と思う事だろう(思ってください)。実際に$v(t)$を$t$で積分すると、

$$\displaystyle \int v_{0}\ +\ at\ dt\ =\ v_{0}t\ +\ \dfrac{1}{2} at^{2}\ +\ C$$

逆に$x(t)$を$t$で微分すれば、

$$\dfrac{d}{dt}(v_{0}t\ +\ \dfrac{1}{2} at^{2})\ =\ v_{0}\ +\ at$$

となり、変位と速度は微積の関係にあることがわかる。ところで速度の式はまだ微分ができる。

$$\dfrac{d}{dt}(v_{0}\ +\ at)\ =\ a$$

これは完全に加速度である。つまり、変位を微分すると速度、速度を微分すると加速度ということだ。これは式での説明だが、考えてみれば、速度は「位置の変わる度合い」だし、加速度は「速度の変わる度合い」で、どちらも変化量を示すものである。だから、変位の変化量としての導関数が速度だし、速度の変化量としての導関数が加速度なのである(いっつふぃーりんぐ、のっといぐざくと)。

 これは他の運動の式にも言える。運動を表す式で基本となるのは上のものと単振動の式だから、単振動の式を見てみよう。

$$\begin{eqnarray} x(t)\ &=&\ A\sin(\omega t) \\ v(t)\ &=&\ \omega A\cos(\omega t) \\ a(t)\ &=&\ -\omega^{2} A\sin(\omega t) \ =\ -\omega^{2}x(t) \end{eqnarray}$$

これも自明だが、$x(t)$を$t$で微分すると

$$\dfrac{d}{dt}(A\sin(\omega t))\ =\ \omega A\cos(\omega t)\ =\ v(t)$$

$v(t)$を$t$で微分すると

$$\dfrac{d}{dt}(\omega A\cos(\omega t))\ =\ -\omega\cdot\omega A\sin(\omega t)\ =\ a(t)$$

となり、同じような関係になる。

 当たり前ではあるが、ベクトルになってもこの関係は保たれる。というかベクトルの微分は成分全てを微分すればいいだけなので。

 ということで代表的なベクトル表示されがち運動を見てみる。

まずは放物運動。これは$x$方向の運動では加速度が0で、$y$方向の運動では加速度が$-g$の運動だ。なぜ$x$方向の運動のときでは加速度が0になるかと言えば、放物運動を行っているときにかかる力は重力$F\ =\ -mg$だけで、この重力は$y$方向に作用しているからである。だから、$x$方向の運動方程式は、

$$0\ =\ ma$$

となり、ここから$a\ =\ 0$が導き出される(質量は0でないので)。ということで、先の運動の式より

$$\vec{r}(t)\ =\ \left( \begin{array}{c} v_{0x}t \\ v_{0y}t\ -\ \dfrac{1}{2}gt^2\end{array} \right)$$

が位置ベクトルとなる。これを$t$で微分すると、

$$\begin{eqnarray} \dfrac{d\vec{r}}{dt}\ &=&\ \left(\begin{array}{c} \dfrac{d}{dt}(v_{0x}t) \\ \dfrac{d}{dt}(v_{0y}t\ -\ \dfrac{1}{2}gt^{2}) \end{array} \right) \\ &=&\ \left(\begin{array}{c} v_{0x} \\ v_{0y}\ -\ gt \end{array}\right)\end{eqnarray} $$

と速度の要素を持つベクトル$\vec{v}(t)$になる。またこれを$t$で微分すると、

$$\begin{eqnarray}\dfrac{d\vec{v}}{dt}\ &=&\ \left(\begin{array}{c}\dfrac{d}{dt}(v_{0x}) \\ \dfrac{d}{dt}(v_{0y}\ -\ gt)\end{array}\right) \\ &=&\ \left(\begin{array}{c} 0 \\ -g\end{array}\right)\end{eqnarray}$$

と加速度の要素を持つベクトル$\vec{a}(t)$になる。よって次元が増えても同じである。

 次に等速円運動である。これは単振動を拡張したもので、2次元~においては$x$成分が$\cos$、$y$成分が$\sin$になるというだけだ。

$$\vec{r}(t)\ =\ \left(\begin{array}{c} R\cos(\omega t) \\ R\sin(\omega t)\end{array}\right)$$

これも$t$の一階微分、二階微分は、

$$\begin{eqnarray}\dfrac{d\vec{r}}{dt}\ &=&\ \left(\begin{array} \ -\omega R\sin(\omega t) \\ \omega R\cos(\omega t)\end{array}\right) \\ \ \dfrac{d^2\vec{r}}{dt^2}&=&\ \left(\begin{array}\ -\omega^{2}R\cos(\omega t) \\ \ -\omega^{2}R\sin(\omega t)\end{array}\right) \end{eqnarray}$$

となり、単振動のところからわかるようにそれぞれ速度と加速度になっている。

この部分で言いたいことはつまり、

微分: 位置$\rightarrow$速度$\rightarrow$加速度

積分: 加速度$\rightarrow$速度$\rightarrow$位置

の関係があるということである。

角運動量と力のモーメント

 力のモーメントは確か2年の初めの方に「距離×力×$\sin\theta$」と習ったはずだ。このモーメントというのは、「位置ベクトル$\vec{r}$との外積」という演算を意味している。だから力のモーメントは

$$\vec{N}\ =\ \vec{r}(t)\ \times\ \vec{F}$$

という式で表される。外積の大きさというのは、

$$|\vec{a}\ \times\ \vec{b}|\ =\ |\vec{a}||\vec{b}|\sin\theta$$

という定義であったから、2年生で習った

$$N\ =\ rF\sin\theta$$

という式はこの力のモーメントの大きさということになる。つまるところモーメントで示されるのは「回転運動」における物理量である。

 実は角運動量もモーメントの一つである。

$$\vec{L}\ =\ m\vec{r}\ \times\ \vec{v}$$

という定義を教えられたと思うが、$p\ =\ mv$なのだから

$$\vec{L}\ =\ \vec{r}\ \times\ \vec{p}$$

ということで、運動量におけるモーメントというわけだ。

 では結局この2つは何を表しているのか。さきほど言ったようにモーメントとは回転にかかる物理量であるのだから、

力のモーメント: 回転させる力$\ =\ $どのくらいの力を以て回転させているか

角運動量: 回転の勢い$\ =\ $どのくらい回転のパワーがあるか

ということになるだろう(ならないかもしれない、雰囲気)。普通の運動にかかっている力が力のモーメントになり、普通の運動のときの勢い(運動量は重いほど、速いほど大きくなるよ)が角運動量になる。

 では普通の運動のときにでてきた「運動方程式 $F\ =\ ma$」は回転だとどうなるだろうか。運動方程式は$\vec{r}$を使って表すと、

$$\vec{F}\ =\ m\dfrac{d^2\vec{r}}{dt^2}$$

であった。これを力のモーメントの式に代入すると、

$$\vec{N}\ =\ \vec{r}\ \times\ m\dfrac{d^2\vec{r}}{dt^2}$$

という式を得ることが出来る。察しの良い皆様方ならばこの先の展開がわかると思う。この式の微分の部分は加速度であるから、それで書くと、

$$\vec{N}\ =\ \vec{r}\ \times\ m\vec{a}$$

という表記になるが、これと角運動量の式を見比べると差は速度か加速度かというところになる。つまり……角運動量を微分してみよう。

$$\dfrac{d\vec{L}}{dt}\ =\ \dfrac{d}{dt}(\vec{r}\ \times\ m\vec{v})$$

ベクトルの内積/外積の微分は積の微分と同じだから、

$$\begin{eqnarray}\dfrac{d\vec{L}}{dt}\ &=&\ \dfrac{d\vec{r}}{dt}\ \times\ m\vec{v}\ +\ \vec{r}\ \times\ m\dfrac{d\vec{v}}{dt} \\ &=&\ \dfrac{d\vec{r}}{dt}\ \times\ m\dfrac{d\vec{r}}{dt}\ +\ \vec{r}\ \times\ m\dfrac{d^2\vec{r}}{dt^2}\end{eqnarray}$$

同じベクトルの外積は$\vec{0}$であるから、

$$\begin{eqnarray}\dfrac{d\vec{L}}{dt}\ &=&\ m\vec{0}\ +\ \vec{r}\ \times\ m\dfrac{d^2\vec{r}}{dt^2} \\ &=&\ \vec{r}\ \times\ m\dfrac{d^2\vec{r}}{dt^2}\end{eqnarray}$$

と求まる。この左辺、まんま力のモーメントであるから、

$$\dfrac{d\vec{L}}{dt}\ =\ \vec{N}$$

という関係を得ることが出来る。普通の運動を表していた方程式の関係を、回転の運動を表すものだけで表現することができた。この式を回転の運動方程式と言ったりする。

重心

 2年生のときに扱った重心は質点(形を持たない重さのあるもの)の重心であった。数学的な重心とはその図形のど真ん中のことで、物理的な重心はそこに「重さ」という重み付けをしている。

この図からわかるように、図形的には真ん中に来る重心が重さによって右にずれている。質点系の重心は各点の重さに座標をかけたものの平均で求められる。

$$\begin{eqnarray}\vec{r}_{G}\ &=&\ \dfrac{1}{M}\displaystyle\sum_{k=1}^{N} m_{k}\vec{r}_{k} \\ M\ &=&\ \displaystyle \sum_{k=1}^{N} m_{k}\end{eqnarray}$$

 今度は質点ではなく物体で考えてみよう。このときの質点に対する物体を剛体という。剛体は体積があるから、密度が一定とは限らない。この密度を考慮した重心を定義してみる。質点のときは「質量を持つ点のある座標」というような扱いであったから、剛体でも同様に「質量を持つ領域のある座標」としよう。密度$\rho$の微小体積$\Delta V$における質量は、

$$m\ =\ \rho\Delta V$$

であるから、質点系の重心よろしく

$$\begin{eqnarray} \vec{r}_{G}\ &=&\ \dfrac{1}{M}\displaystyle\sum_{k=1}^{N} \vec{r}_{k}\rho_{k}\Delta V_{k} \\ M\ &=&\ \displaystyle\sum_{k=1}^{N} \rho_{k}\Delta V_{k} \end{eqnarray}$$

ということになる。そして微小領域を0に近づけていけば、積分の定義より、

$$\begin{eqnarray} \vec{r}_{G}\ &=&\ \dfrac{1}{M}\displaystyle\int \vec{r}\rho(\vec{r})dV \\ M\ &=&\ \displaystyle\int \rho(\vec{r}) dV \end{eqnarray}$$

になる。

慣性モーメント

 角運動量のところでモーメントとは$\vec{r}$との外積と説明したが、この慣性モーメントはその点罠である。

 今回の範囲のテーマとして「並進運動と回転運動の対応」というのがあると思う。力と力のモーメント、運動量と角運動量のような感じで。慣性モーメントはそれで言うと質量と対応するものだ。つまり「回転のさせにくさ」を表す量である。上でした角運動量の定義を、回転運動の物理量だけで表すときに慣性モーメントが出てくる。並進運動の運動量は$p\ =\ mv$であったから、それに則って

$$L\ =\ I\omega$$

と定義することが出来る。この時の$I$が慣性モーメントである。ここから慣性モーメントの定義を導こう。

角運動量は$\vec{L}\ =\ m\vec{r}(t)\ \times\ \vec{v}$で定義した。これをベクトルではなくスカラーでとらえると、$L\ =\ mrv$ということになる。角速度$\omega$は$v\ =\ r\omega$の関係があったから、

$$\begin{eqnarray}L\ &=&\ mr\ \dot\ r\omega \\ &=&\ mr^2\omega \end{eqnarray}$$

ということになる。ここでは剛体として考えているから、重心同様に密度が一定とは限らない。重心同様に微小体積$\Delta V$と密度の関数$\rho(\vec{r})$を持ってきて、重心同様に$m\ =\ \rho(\vec{r})\Delta V$と置いてその総和として慣性モーメントを定義する。あとは0の方向に極限を取れば、重心同様に積分形式で剛体の慣性モーメントを定義することが出来る。基準点との距離も一定かわからないから、距離も関数にする(rだとややこしいからlとする)。

$$I\ =\ \displaystyle \int \rho(\vec{r})l^2(\vec{r})dV$$

並進運動と回転運動

 さて、ここまで長々と並進運動と回転運動の対応について考えてきた。ここでそれらをわーっと見てみよう(応物の授業資料とめっちゃ同じ流れすぎる)。

 並進運動における位置と速度と加速度の微積の関係は、回転運動では位置は$\theta$となり

$$\begin{eqnarray} \dfrac{d\theta}{dt}\ &=&\ \omega \\ \dfrac{d\omega}{dt}\ &=&\ \alpha\end{eqnarray}$$

ということになる。これを含めて、並進運動と回転運動の物理量の対応は

$$\begin{array}{cc}\hline \mathbf{並進運動} & \mathbf{回転運動} \\ \hline \mathbf{質量}\ m & \mathbf{慣性モーメント}\ I \\ \hline \mathbf{位置}\ \vec{r} & \mathbf{角度}\ \theta \\ \hline \mathbf{速度}\ \dfrac{d\vec{r}}{dt}\ =\ \vec{v} & \mathbf{角速度}\ \dfrac{d\theta}{dt}\ =\ \omega \\ \hline \mathbf{加速度}\ \dfrac{d\vec{v}}{dt}\ =\ \vec{a} & \mathbf{角加速度}\ \dfrac{d\omega}{dt}\ =\ \alpha \\ \hline \mathbf{運動量}\ \vec{p}\ =\ m\vec{v} & \mathbf{角運動量}\ L\ =\ I\omega \\ \hline \mathbf{並進方程式}\ \vec{F}\ =\ m\vec{a} & \mathbf{回転方程式}\ \vec{N}\ =\ \dfrac{d\vec{L}}{dt} \end{array}$$

というように整理することが出来る。回転の運動方程式は並進の運動方程式っぽく

$$N\ =\ I\alpha$$

と書くこともある。

運動方程式と微分方程式

 運動方程式が微分を使って表現できることはすでに示した。これを微分方程式として取り扱ってみよう。僕の流派から外れるが、表示をわかりやすくするために$ma\ =\ F$の形式にする。

$$m\dfrac{d^2x}{dt^2}\ =\ F(x)$$

がその微分方程式となる。ここでは授業で扱った3つのパターンについて微分方程式を解いてみることにする。またそれぞれよくある初期条件での特殊解も示すことにする(先生の資料にて提示されたもの)。

F = 定数

 力の項が定数であるとき、

$$m\dfrac{d^2x}{dt^2}\ =\ F$$

の定数係数非斉次2階線形微分方程式となる。これは単純にtで積分して解く(直接積分形)。

$$\begin{eqnarray} \dfrac{d^2x}{dt^2}\ &=&\ \dfrac{F}{m} \\ \mathbf{両辺をtで積分} \\ \displaystyle \int \dfrac{d^2x}{dt^2}dt\ &=&\ \displaystyle \int \dfrac{F}{m}dt \\ \dfrac{dx}{dt}\ &=&\ \dfrac{F}{m}t\ +\ C_{1} \\ \mathbf{両辺をtで積分} \\ \displaystyle \int \dfrac{dx}{dt}dt\ &=&\ \displaystyle \int \dfrac{F}{m}t\ +\ C_{1}dt \\ x\ &=&\ \dfrac{1}{2} \dfrac{F}{m}t^2\ +\ C_{1}t\ +\ C_{2} \\ \mathbf{\frac{d^2x}{dt^2}\ =\ a\ より} \\ x\ &=&\ \dfrac{1}{2}at^2\ +\ C_{1}t\ +\ C_{2} \\ \mathbf{初期条件として} \\ t\ &=&\ 0\ \mathbf{のとき、} \\ x\ &=&\ x_{0} \\ \dfrac{dx}{dt}\ &=&\ v_{0}\ \mathbf{を与える} \\ \mathbf{一般解の1階微分} \\ \dfrac{dx}{dt}\ &=&\ at\ +\ C_{1} \\ \mathbf{より、} \\ \dfrac{dx}{dt}\ &=&\ v_{0}\ =\ C_{1} \\ x\ &=&\ x_{0}\ =\ C_{2} \\ \mathbf{特殊解は} \\ x\ &=&\ \dfrac{1}{2}at^2\ +\ v_{0}t\ +\ x_{0} \end{eqnarray}$$

つまり、等加速度運動の式が求まる。力の項が定数なのは重力だとかそういうよく見る力のときである。

F = 重力 + 速度比例抵抗力

 つまり速度に比例する空気抵抗を考えた時の運動である。このときは

$$m\dfrac{d^2x}{dt^2}\ =\ mg\ -\ R\dfrac{dx}{dt}$$

の定数係数非斉次2階線形微分方程式となる。この場合は1階微分と2階微分が出ているから、

$$\dfrac{dx}{dt}\ =\ v$$

を代入して

$$m\dfrac{dv}{dt}\ =\ mg\ -\ Rv$$

の定数係数非斉次1階線形微分方程式として扱う。これは変数分離形である。

$$\begin{eqnarray} m\dfrac{dv}{dt}\ &=&\ mg\ -\ Rv \\ \dfrac{m}{mg\ -\ Rv}\dfrac{dv}{dt}\ &=&\ 1 \\ \mathbf{両辺をtで積分} \\ \displaystyle \int \dfrac{m}{mg\ -\ Rv}\dfrac{dv}{dt}dt\ &=&\ \displaystyle \int dt \\ m\displaystyle \int \dfrac{1}{mg\ -\ Rv}dv\ &=&\ \\ \mathbf{被積分関数の分母の微分} \\ \dfrac{d}{dt}(ma\ -\ Rv)\ &=&\ -R \\ \mathbf{より} \\ -\dfrac{m}{R}\log|mg\ -\ Rv|\ &=&\ t\ +\ c \\ \log|mg\ -\ Rv|\ &=&\ -\dfrac{R(t\ +\ c)}{m} \\ mg\ -\ Rv\ &=&\ \pm e^{-\frac{R(t\ +\ c)}{m}} \\ \mathbf{\pm e^{-\frac{Rc}{m}}\ =\ C_{1}と置く} \\ mg\ -\ Rv\ &=&\ C_{1}e^{\frac{Rt}{m}} \\ v\ &=&\ \dfrac{mg\ -\ C_{1}e^{\frac{Rt}{m}}}{R} \\ \mathbf{初期条件として} \\ t\ &=&\ 0\ \mathbf{のとき、} \\ v\ &=&\ 0\ \mathbf{を与える} \\ 0\ &=&\ \dfrac{mg\ -\ C_{1}e^{\frac{R\ \cdot\ 0}{m}}}{R} \\ &=&\ mg\ -\ C_{1} \\ C_{1}\ &=&\ mg \\ \mathbf{特殊解は} \\ v\ &=&\ \dfrac{mg}{R}(1\ -\ e^{\frac{Rt}{m}}) \end{eqnarray}$$

この初期条件はつまり自由落下を意味している。正の無限大に極限を取ってみると、速度が$\frac{mg}{R}$に収束することがわかる。

単振動

 単振動のときの力は、

$$F\ =\ kx(t)$$

であったから、運動方程式は

$$m\dfrac{d^2x}{dt^2}\ =\ -kx$$

の定数係数斉次2階線形微分方程式となる。これは単純に

$$m\dfrac{d^2x}{dt^2}\ +\ kx\ =\ 0$$

として解く。

$$\begin{eqnarray} m\dfrac{d^2x}{dt^2}\ +\ kx\ &=&\ 0 \\ \mathbf{特性方程式より} \\ m\lambda^2\ +\ k\ &=&\ 0 \\ m\lambda^2\ &=&\ -k \\ \lambda\ &=&\ \pm \sqrt{\dfrac{k}{m}}i\\ \mathbf{\sqrt{\frac{k}{m}}=\omega より} \\ \lambda\ &=&\ \pm\omega i \\ \mathbf{よって一般解は} \\ x\ &=&\ C_{1}\cos\omega t\ +\ C_{2}\sin\omega t \\ \mathbf{初期条件として} \\ t\ &=&\ 0 \mathbf{のとき、} \\ x\ &=&\ l \\ \dfrac{dx}{dt}\ &=&\ 0 \mathbf{を与える} \\ \mathbf{一般解の1階微分} \\ \dfrac{dx}{dt}&=&-\omega C_{1}\sin\omega t+\omega C_{2}\cos\omega t \\ \mathbf{より、} \\ 0\ &=&\ -\omega C_{1}\sin0\ +\ \omega C_{2}\cos0 \\ &=&\ \omega C_{2} \\ C_{2}\ &=&\ 0 \\ \mathbf{また、} \\ l\ &=&\ C_{1}\cos0\ +\ C_{2}\sin0 \\ &=&\ C_{1} \\ \mathbf{特殊解は} \\ x\ &=&\ l\cos\omega t \end{eqnarray}$$

この初期条件はばねを長さ$l$引っ張って離した瞬間を意味している。