ジョージア語講座 動詞


 今回は第十回講座と第十一回講座[1]のアーカイブです。


動詞の分類

 ジョージア語は働きや意味で4分類されています。

  • Ⅰ類動詞…他動詞
  • Ⅱ類動詞…自動詞(受動や起動相のような意味を持つ)
  • Ⅲ類動詞…自動詞(進行中の行動など)
  • Ⅳ類動詞…知覚や感情など

 また活用方法で2分類されています。

  • 第一活用類動詞、類動詞
  • 第二活用類動詞、類動詞

 分類の名称に数字が入っており混同しやすいです。この名称はジョージア語文法用語なので覚えておくと調べるのが楽になります。


動詞の構成

 ジョージア語の動詞は複数の構成要素からなります。例として次の動詞を使います。

შეამიწუხებია 私は彼を苦しめたのだろう(現在完了形)

 まず、この動詞を構成要素で色分けします(見にくい場合は、この下の説明だけでも十分です)。

შემიწუხებია

見てわかる通り多くの要素があります。

 次に、これらの要素を説明します。

  • შე:動詞接頭辞…未来系列等の動詞や移動の動詞に付く。
  • :前母音…語根に付くა,ე,ი,უの母音で、様々な意味を持つ。
  • მი:目的語マーカー…その動詞の目的語の人称を示す。また、動詞の主語の人称を示すときもある。
  • წუხ:語根…その動詞の中核的な部分。
  • ებ:動詞接尾辞…現在系列と未来系列等の動詞に付く。
  • ია:直接目的語マーカー…その動詞の直接目的語を示す。

(説明できてない要素があるので、もう一つ挙げます)

დაწერ 私はそれを書く(未来形)

 上の動詞と同じ要素のものは色を同じものにしています。

  • :人称マーカー…動詞の主語を示す。

 また、前母音+語根+動詞接尾辞語幹といいます。

 たくさんの要素がありますが、大事なのは位置と名前だけです。働きとかは特段覚える必要はありません(名前から自明ですし)。


系列と時制と相と法(活用)

(没タイトル)系列、時制と相と法、つまり活用これがそう

系列

 先ほどの構成要素の説明で「未来系列」や「現在系列」という文言がありました。これは動詞の活用におけるグループの名前です。

 以下が系列と活用の表です。

\系列現在未来アオリスト完了
非過去現在形未来形
過去未完了形条件法アオリスト現在完了形
接続法現在接続法未来願望法過去完了形
Georgian a reading grammar/Howard I. Aronson  p.462 

 これらはscreeveと呼ばれるもので、数と人称のみで分けられたグループの名称です。日本語で時相法と呼ばれたりします(TAMの訳語)。なぜこう呼ばれるかと言えば、これはジョージア語が一つの動詞で「時制」「相、法」を示すことができるからです。例えば「現在形」は正しくは「現在形進行相」となります。

活用

 次に、上の表にある活用の説明を系列別にします。実際に動詞の活用を紹介するときは講座と同じ順番でやります。

 活用接辞は語幹に付きます。また、基本的に一人称と二人称は同じ接辞です。以下の法則を覚えれば、接辞は1/2人称接辞3単3複のみを覚えれば大丈夫です。

単数複数
一人称ვ-…-(接辞)ვ-…-(接辞)თ
二人称…-(接辞)…-(接辞)თ

現在系列

 この系列にある活用はすべて未完了相です。

現在系列現在形

 これは未完了の動作を表すものです。

例) წერს 彼はそれを書いている。

現在系列未完了過去形

 これは過去に進行中だった動作を表すものです。

例) წეროდა 彼はそれを書いていた。

現在系列接続法現在

 これは反事実的な仮定を表します。現在系列なので未完了相です。

例) წეროდეს もし書いていたらな……。


未来系列

 この活用にある動詞はすべて完了相です。

未来系列未来形

 これは完了した(する)動作を表すものです。

 現在形と未来形の違いは、未完了相か完了相かというところです(前者は現在形)。

例) დაწერს 彼はそれを書く。

未来系列条件法

 これは反事実的な仮定や結果を表すものです。接続法とセットで使われることもあります。

例) დაწერდა 彼がそれを書いたのにな。

未来系列接続法未来

 これは反事実的な仮定を表すものです。未来系列なので完了相です。

例) დაწერდეს もし彼が書いたらな……。


アオリスト系列

アオリスト系列アオリスト

 これは単純過去を表すものです。単純過去とは、様相とは関係ない点的な過去のことです。

例) დაწერა 彼がそれを書いた。

アオリスト系列願望法

 これは願望だけでなく、意志、必要性、可能性、否定命令、義務、仮定状態、勧誘など様々な意味を持っています。これらは文脈で判断します。

例) დაწეროს 彼はそれを書きたい。


完了系列

 「完了」という名前を冠していますが、一般的な完了形とは少し異なった概念です。

完了系列現在完了形

  現在完了形には様々な種類の意味があります。

  • 見ていない過去の行動(の結果や理由の推測)
  • 単純過去的な否定(否定詞とともに使う)

 アオリストの否定は理由を持った否定という扱いになります。単純に過去の否定をしたいときは現在完了形の否定を使います。

  • 過去の伝聞(の暗示)
  • 過去の疑問

 応答はアオリストか現在完了形になります。アオリストでの応答は伝聞現在完了形での応答は推測になります。(こうでない応答を期待しているときはアオリストで疑問文を作ります)

例) დაუწერია 彼はそれを書いたらしい

完了系列過去完了形

 これは様相性を持った過去形です。主に、条件法、願望法、接続法の過去形として使われます。

例) დაეწერა 彼はそれを書きたかった